2011年05月12日

日本の家はなぜ短命なの?⑥

今日は4つ目の理由である 飽きた についてです。

住宅の資産価値を決める決定的な要素はなんだと思いますか?
それは、「デザイン」なのです。

あなたが、洋服屋さんで服を買うことを思い出してください。
同じ予算なら、初めにデザインで選びませんか?次に着られるかサイズを見て、着て
色柄を見て自分に似合うどうか、そして、生地も見てから買いませんか?

他にも、メガネやクルマもほぼ同じような買い方をしていませんか?

ある人は住み始めて10年もすると、完成した時はハイカラ(死語?)でモダン
な家だとあれほど友人たちが[素敵~、うらやまし~]とか言っていたのに…ガーン

今改めて家全体を見回すと…なんか野暮ったく流行おくれの感がぬぐえない感覚を持つといいます。
ローコスト住宅だったから?いいえ、俗にいう高級住宅の部類に入る家でも同じです。

せっかく造られた高級住宅もデザインが悪ければ、いくら高価な材料や設備機器を使っても飽きられ
てしまうのです。

では、短命な住宅に終わらない住宅=資産価値の下がらない住宅=飽きられない住宅
は、だれが決めるのでしょうか?




目立ちたい個性的なというのは、紅白歌合戦の小林幸子の衣装ぐらいで充分です。
ハッキリ言ってそういう家づくりは変です。

そして、自分勝手な思い込みや、好みだけでは、市場にかけた時に社会が評価しません。
そのために幾ら高級に造ったとしても、お金に換算した時の価値は下がってしまうのです。

長い歴史の中で、社会が評価、認知して定まったデザインとして
「伝統デザイン(クラッシック・デザイン)」または「ヴィンテージ・デザイン」
という 古きよきものに 価値を見い出す概念を 挙げることができます。

勘違いをしないでいただきたいのですが、古いとは伝統的の意味合いです。

極端な話、最新の技術で古い家を造る ことです。

初めから 古いのですから古くなりません

世界遺産に指定されているスペインにあるバルセロナの「サグラダファミリア教会」を始めいくつもの世界遺産を残した「建築家ガウディ」は、生前、

「オリジナリティ(独創性)とはオリジン(根源的、本質的)に戻ることである。」

という言葉をガウディは常々言っていたそうです。

つまり「デザインは工夫しても発明しない」ことです。

目で見て美しいと感じる建物には、規則性 法則性があります。

これは、人類が長い歴史の中から無意識のうちに自然界から感じ取ってきたものだからです。

飽きる とは正常な感覚で、飽きることのない デザイン を昔の人から もらっちゃいましょう。

また次回へ つづく

         by 千年杉建築事務所 小林正幸
  


Posted by せんねんすぎ at 11:36Comments(2)

2011年05月06日

日本の家はなぜ短命なの?⑤

今日は3つ目の理由 リフォームができない についてです。

一般的にいう リフォームとは 部屋の模様替えから部屋の増築あるいは、住設備の維持管理や機器の

取り替え、屋根や外装の改修工事等をいいます。

これらは、新築時のようにキレイにしたい。古くなったから取り替えたい等、目先の理由で行うもので、

当たり前なのですが、そこには、

「家の価値を高める」という発想は残念ながらありません。

既存の建物を時代の変化に対応させ、機能・性能を向上させること で、建築物の資産価値までも高める

リフォーム 例えば、

耐震性や防火安全性を確保し耐久性を向上させるため

社会の情勢に伴って変化する建築機能の向上のため

冷暖房に費やすエネルギー節約などのため

これらを リノベーション と呼びます。



この リノベーション 業界の中で積極的に行っている業者はいますが、この知識サービス型の提案には

十分な知識としっかりと経験を積んだ技術者がまだまだ不足しています。

そのためか、いまだに技能サービス型のリフォームが主流となっているのが現状です。

家主も、資金面さえクリアすれば、安易に業者の提案に乗り、建て替えにとたなびいてしまうのです。

こうして、家の耐用年数はリノベーションで延長できるのに、個人的な耐用年数が短いため寿命が

短くなってくるのです。

 次回につづく

              by 千年杉建築事務所 小林正幸

  


Posted by せんねんすぎ at 23:29Comments(0)

2011年05月03日

日本の家はなぜ短命なの?④

今日は、2つ目の 中古住宅の流通が未整備 について





上図のように、欧米と比較しても 中古住宅の流通シェアが極端に低い のがわかります。

まず、土地と建物の価格のバランスについて考えてみてください。

詳しくは省略しますが、税制の面では、建物よりも土地が優遇されてきたため

資産=土地という固定観念が出来上がりました。

つまりは、売るときや相続で譲るときは、更地 (建物や敷地内の付属物を壊して空き地にすること)

にした方が売りやすい。また、相手がそれを望むということです。

土地を売るときは、その時代の相場価格で取引きされますが、建物は新築後20年も経過すれば査定

価格はほぼゼロ!

さらに、壊すことで100万円ぐらいのお金が出ていくのです。

――本「家は壊すもの」から「家は売るもの」と発想を変えれば誰だって丁寧に住みます。

定期的に、メンテナンスや修理、補修をして住むことで価格が左右するならば、家の寿命

にとってプラスになるはずです。--

ということで、売れないから、建て替える……という図式が 日本では 当たり前になりました。

  


Posted by せんねんすぎ at 22:55Comments(0)

2011年05月01日

日本の家はなぜ短命?③

いよいよ本題です。

日本の家が30年そこらで建て替えられている理由として考えられるのは

下記の

Ⅰ 住宅の質が低い

Ⅱ 中古住宅の流通が未整備

Ⅲ リフォームができない

Ⅳ 飽きた

今日はⅠの「住宅の質が低い」について

質が低いとは冬は寒い びっくり夏は暑いびっくり 雨漏りが直らない から建て替えたい
という理由



これは建てられた家の性能施工が悪いことで住まい手がこの家に愛着がなくなったということ。


いくら、温暖な地域であっても、冬季は必ず暖房を入れますが、暖房しても断熱と気密性が悪い家のため、一向に暖まらない
暖まらないから、電気や灯油をガンガン使う。ガンガン使えば翌月の光熱費がグーンと上がっていく。
そして、窓ガラスには結露や壁にカビ発生。そんな、悪循環で「わが家」がドンドン嫌になっていく。

夏季には、エアコンを点けていれば、なんとか涼しいが、止めたとたん直ぐ暑くなる。窓を開けても外は無風で風なんか入って来やしない。
入ったとしても湿った暖かい風だけ。が

また、雨漏りの修理で、建てた工務店に頼んでも、簡単にコーキング処理だけで済まされ、
そのうちにいくら電話しても「忙しい、雨上がりに伺います」とか言って、放り
ぱなしにされて、そのままに。    こうして木の家は早く朽ちていく。
(これは施工と建てた業者の質が悪い。)

近年までの景気対策で「マイホームをドンドン建てよ!」の国の号令で建った家はこの傾向が強いため残念ながら短命な住宅になっていく。

次回につづく

      by千年杉建築事務所  小林正幸  


Posted by せんねんすぎ at 22:19Comments(0)

2011年04月26日

日本の家はなせ短命なの?②

すでに住宅を購入、または新築をした、あるいは、これから購入・新築しよう
とする方で、果たしてどれぐらいの方が、いずれ来ることになる建て替えのこ
とを考えているのでしょうか?

おそらく、ごくごくわずか だと思います。

本FP(ファイナンシャルプランナー)の方がつくるライフプラン(人生計画表)
にも、建て替え資金まで想定して、老後に必要な資金アドバイスはしていません―

…で、やがて確実にやってくる建て替え。


その前に必ず行うことになるであろう大なり中なりの修繕工事。

にもかかわらず、

「土地の資産価値は残りますから」はてなはてな

「建て替え資金が少なければ売ってまた建てればいいんですよ」はてなはてな

「土地には担保力ありますから住宅ローンを借りることができます」はてなはてな

さらには、「子供さんたちが何とかしてくれますよ」はてなはてな

までもっともらしいことを言って購入(新築)させようといる無責任な業界の輩にも大いに問題があります。

次回をお楽しみに                         by 千年杉建築事務所 小林正幸  


Posted by せんねんすぎ at 23:25Comments(0)

2011年04月25日

日本の家はなぜ短命なの?①

住宅が短命というのは、次の建て替えまでの年月が短いということを指しています。
国交省資料による比較表をご覧ください。                             つまりは、30年で代替わりというこです。
このことは、すべての世代ごとに住宅を新築しなくてはならない。
ということです。
住宅ローンがやっとこさで払い終えたら、望む望まざるとにかか
わらず、すぐ建て替えすることを意味しています。
日本の住宅購入者の年齢は42歳前後といわれています。
この人たちは新築住宅を購入したら、平均的に30年後、つまり
72歳で再び建て替えを検討しなくてはならなくなるのです。
  


Posted by せんねんすぎ at 15:28Comments(0)